ゴール
従来型エネルギーにおいてエクセルギー損失ミニマムを実現するとともに次世代再生可能エネルギーの超高効率化を実現することで、化石燃料の使用を極限まで抑制、ないしは高効率化した環境共生型エネルギー供給システムを実現する。更にこれらの創エネルギーを調和的に組み込んでいくスマートエネルギー供給システムを確立し、持続可能エネルギー社会基盤を実現する。
研究ベクトル
ナノ界面材料構造制御技術、超低損傷プロセス技術、新概念燃焼技術、大深度環境測定技術
および非破壊検査技術を基に、革新的エネルギー生成貯蔵技術及び管理保全技術を確立。
最適化設計技術により、コストと効率のバランスを踏まえた各種発電方式の融合
および発電システムと蓄電システムの融合による革新的スマートエネルギー供給システムの実現。
エネルギー技術立国日本の実現に向けて、ビジネスモデル構築やエネルギー科学技術政策提言。
未到エネルギー研究センターのアドバンテージ
バイオテンプレート極限加工による世界初の無欠陥・超格子構造の作製と
その構造を用いた超高効率シリコン量子ドット太陽電池の実現。
燃焼において不可避とされていた不可逆損失(エクセルギー損失)を、燃焼開始時のエクセルギー率を
上げることで大幅削減できる高エクセルギー効率燃焼を提唱。
高温酸素燃焼など具体的な取り組みを遂行中。
10-50nmレベルの均一サイズの高結晶性活物質(LiFePO4)の合成技術による高容量・高出力型電極により
世界トップレベルのリチウムイオン電池特性の実現。
世界をリードする錯体水素化物をはじめとした多様な水素化物の合成や固体水素キャリアとしての
高機能化による高効率燃料電池の実現。
独自の最適化設計技術により、コストと効率のバランスを踏まえた各種発電方式の融合
および発電システムと蓄電システムのベストミックスの実現。
各研究室の研究内容
グリーンナノテクノロジー研究分野
現代社会にとって安全で安価なエネルギーの確保やエネルギーの効率的利用は重要な問題です。この問題を解決し、エネルギー技術立国を目指すため、革新的グリーンナノデバイスの研究を行っています。具体的には、発電デバイス(量子ドット太陽電池など)、蓄電デバイス(ナノ材料を用いた高効率蓄電池など)、低消費電力デバイス(量子ドットレーザー・Geトランジスタ・グラフェントランジスタなど)やこれらを合わせたナノエネルギーシステムの開発を行っています。これらのナノデバイスを作製するためには、ナノ構造を正確にダメージなく作製し、物質や量子ナノ構造の持つ本来の特性を引き出すことが必要です。本研究室のバックグラウンドであるビームプロセスやバイオテンプレート極限加工技術などの独自の知的ナノプロセス技術を駆使することによって初めてそのような加工が可能となります。
地殻環境エネルギー研究分野
近年、地球環境やエネルギーというものに対する世界の意識が大きく変わろうとしています。特に、次世代エネルギー資源として注目され、その実用化に向けて我が国が世界をリードする「メタンハイドレート」、生産技術が確立され、世界の資源地図を塗り替えるという声もある非在来型石油資源「シェールガス」、火山国であるわが国に豊富に存在する「地熱エネルギー」、地球温暖化対策の切り札と期待される「二酸化炭素地中貯留」の研究開発など、エネルギーと地球環境に関わる課題を解決することが世界的に重要な施策の一つと位置付けられています。
当研究分野では、このような地球環境問題とエネルギー問題の解決を目指し、地殻内に天然に存在する特殊環境(温度、圧力、閉鎖性)を高度に利用することで、調和のとれた人と自然の関係を達成することを目指した様々な研究を行っています。
地殻環境エネルギー研究分野
当研究分野では、多様化する燃料の高度利用による革新的なエネルギー利用体系の構築を目指し、新コンセプト燃焼技術の研究開発に取り組んでいます。新コンセプト燃焼による高エクセルギー効率燃焼システムの創成を通じ、エネルギー問題への貢献を目指しています。具体的には、マイクロ燃焼、微小重力場燃焼、高温酸素燃焼を三つのキーワードとし、レシプロエンジンやガスタービン・工業炉など、実用燃焼機器における燃焼過程の高エクセルギー効率化を目指しています。
システムエネルギー保全研究分野
本研究室ではエネルギープラントや航空機・自動車などの大規模で複雑なシステムを対象として、センシング技術、材料評価技術を用いた機器・システムの保全や省資源・省エネルギーに関する研究開発を行っています。
具体的には、1.構造材料の非破壊劣化診断法や電磁センシング法の開発、2.構造物の非破壊検査およびヘルスモニタリングに関する研究、3.機能性材料のメカニズム解明と省エネルギー技術への応用、4.保全の定量化および最適化に関する研究、を行っています。
混相流動エネルギー研究分野
スーパーコンピューティングと先端的計測の融合に基づく革新的混相流動解析手法の開発ならびに環境調和型エネルギーシステムの創成に関する研究を行っています。
特に、反応性混相流体の活用による環境調和型ナノクリーニング技術の創成として極低温マイクロ・ナノソリッドの高速噴霧流を用いた、完全ケミカルフリー、純水フリータイプ、ドライ型半導体ウエハ洗浄システム、ならびに太陽電池・タッチパネル用ITO膜(酸化インジウムスズ)のはく離技術に関し、異分野融合型の研究開発を行っています。本提案によるマイクロ・ナノソリッドスプレー利用型アッシングレス半導体洗浄システムは、マイクロ・ナノソリッド粒子の超音波微粒化と氷核生成促進、ならびに粒子の運動力学的高速衝突と極低温粒子流の有する超高熱流束冷却特性を利用するものであり、従来型の酸素プラズマを利用したアッシングプロセス・溶液分離とは異なる全く新しい原理からなるサステナビリティの高い洗浄システムと、希少金属のリサイクル技術に直結する環境調和型ナノクリーニングシステムの開発をめざしています。